不正な歯並びについて
不正な歯並びとは
「不正な歯並び」とは「正しくない歯並び」「歯並びの悪い状態」のことで、顎の骨の成長に原因があるタイプと、歯に原因があるタイプの、大きく2つに分けられます。例えば、顎の骨の成長に原因があるタイプでは「上顎と下顎の位置が前後左右などにずれている」などです。また、歯に原因があるタイプでは、歯が顎より大きい、または小さいなどバランスが悪く、歯と歯の間に隙間が生じたり、歯並びがでこぼこになったりなどがこれにあたります。不正な歯並びがあることで、生活に支障が出たり、見た目にコンプレックスを感じる場合には、矯正治療を受けることをおすすめします。不正な歯並びの場合、かみ合わせが悪くなるだけでなく、成長期であれば顎の正常な発育にも影響することがあります。
時期ごとの不正な歯列の症状について
乳歯列期の場合
生まれてからまずはじめに生えてくる歯「乳歯」の歯列は、生後6ヶ月前後で生え始め、2歳半頃に生え揃い、上顎10本・下顎10本の合計20本です。大人の歯である「永久歯」は6歳頃から生え始めますが、それまでの時期のことを「乳歯列期」といいます。乳歯列期の歯列不正には、受け口などの「顎の発育に起因して起こる歯列不正」と、指しゃぶり(吸指癖)、舌を突き出す(舌癖)などの癖 = 口腔習癖(こうくうしゅうへき)によって歯が移動して起こる開咬症などの「外的な要因で起こる歯列不正」があります。
混合歯列期の場合
6、7歳~12歳頃の「混合歯列期」は、乳歯から永久歯への生え変わりの時期で、乳歯と永久歯が混在する時期です。混合歯列期の特徴として、一見、歯列不正のように見えて、実際は問題の無いケースが、本当の歯列不正にまぎれて起こります。例えば「上顎前歯の間に隙間がある状態(上顎前歯の離開)」「下顎前歯の乳歯の後ろに永久歯が生える状態(二枚歯の状態)」などがあります。「上顎前歯の離開」は異常ではなく、ほとんどの場合、永久歯が生え揃うまでに隙間は消失します。また、「二枚歯の状態」は、後から出てきた永久歯が、舌圧によって前方に押されていき、最終的に乳歯は抜け落ちます。通常は、数ヶ月程度で改善されます。これらのことから、本当の歯列不正なのか、歯列不正に見えるだけのものなのかを、慎重に見極めていくことが大切となります。
永久歯列期の場合
永久歯が生え揃った時期である12~18歳頃を「永久歯列期」といいます。永久歯列期の中でも、12~18歳頃は、成長期でもあり下顎の骨も成長するため、かみ合わせに大きな変化が現れることがあります。特に下顎前突(受け口)の場合、この時期になってしまうと矯正治療単独では受け口の治療は困難な場合があります。顎変形症の外科手術を必要とする場合が多くなります。
不正な歯並びの種類
ここでは不正な歯列の代表的なものをご紹介させていただきます。
叢生
「叢生(そうせい)」とは、歯並びがでこぼこになり、重なりあったりした状態のことをいいます。「乱杭歯(らんぐいば)」ともいいます。ちまたにいう「八重歯(やえば)」も叢生のひとつです。顎の骨の成長が不十分で、歯の並ぶスペースが足りないと、叢生になります。
上顎前突
「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」は、「出っ歯」ともいい、上顎が突出しているか、下顎が上顎より後退しているなど、相対的に上顎が突出した状態のことです。歯の突出している度合が大きい場合、顔貌への影響だけでなく、口が閉じにくくなる場合もあります。
下顎前突
「下顎前突(かがくぜんとつ)」とは、「受け口」ともいい、下顎が突出している状態のことです。通常は、上の歯が下の歯よりも2mm~3mm程度前に出ているのが正しい噛み合わせですが、下顎前突では、下顎の歯が上顎の歯よりも前に出てしまった状態です(反対咬合)。
開咬
「開咬(かいこう)」は、奥歯は噛み合わさっていても、前歯は噛み合わずに、上下の歯の間が開いている(Open bite)状態をいいます。
空隙歯列
「空隙歯列(くうげきしれつ)」は、歯と歯の間にすき間ができいる状態のことです。「すきっ歯」や、「歯間離開(しかんりかい)」ともいいます。
過蓋咬合
過蓋咬合(かがいこうごう)とは、噛み合わせが深い(Deep bite)状態です。